2019.08.01| "文系ソムリエ"が教えるワインの楽しみ方

No.7 お酒は文化

6月、イタリアと日本を結ぶイベントが上越、銀座の各クオルス・リストランテで開催され、ワインと美食を通じて、イタリアから来日したゲストと日本のお客さまの間で素敵な文化交流の花が咲きました。

高波社長の招待で〝酒どころ新潟〟の有名酒造メーカーにも案内されたゲストたち。イタリアとはまた違う美しい自然環境にある酒蔵では、ワインの作り手だけあって、熱心にその製造工程に聞き入り、さまざまな質問を投げかけていました。日本酒特有の工程はあるものの、最終的には「伝統を受け継ぎ、土地の恵みが凝縮した原材料を最大限に生かせるよう、日々精進し、より良いものを作って次の世代に渡していく」という点で、ワイン作りと何ら変わりはなく、〝等しい情熱をもった同志〟という思いを強く持ったとの感想が聞かれました。まさに魂レベルの交流です。吟醸酒の味わいに関しては「すっきりなのに、奥深く、洗練されている。誠に美味」とのコメント。

それにしても、洋の東西にかかわらず本当にお酒(以降、広義でのアルコール飲料)に対する人々の情熱、そして愛情は昔からどこも同じで、人類の営みの中でどれほどかけがえのないものであったか、と思わずにはいられません。古来より祭礼に使われ、お神酒(おみき)と呼ばれる日本酒やキリストの血とされるワイン等、神聖なものとしても扱われ、もはや人類が生んだ偉大な文化であることは間違いなく、近年、ワインやビール関連の文化が無形文化遺産にも登録されており、日本酒にもその期待がかかっています。

昨今、若者のお酒離れが進んでいると聞くにつけて、残念でなりません。体質的に飲めない人は別としても、今日にありがちな、お酒の一面しか見ていない偏った情報だけで、酒文化の素晴らしい真価に触れる機会を逃すのは、あまりにももったいないと思うからです。お酒は確かに〝諸刃の剣〟、上手に付き合ってこそのものですが、お酒をより深く知る喜びが、どれほど人生を豊かにしてくれ、それを介してどんなに人と人との心を結び付けてくれることか! お酒を敬遠している方も、是非この〝文化遺産の世界〟に飛び込んで探訪してみて下さい。そこでしか見られない美しい景色がきっとあるはずです!

 

2019年6月14日に開催された、Le Meraviglie del RISTORANTE DA PIERO 1965 特別ディナーにて

 

〈この記事は2019年8月1日発行「LaPassione! 8号」の内容を掲載しています〉

ソムリエ・小関 智子 Tomoko Koseki

ソムリエ・小関 智子 Tomoko Koseki

クオルス・イタリア駐在員。エミリア・ロマーニャ州在住でAIS(イタリアソムリエ協会)のソムリエの資格を持つ。猫とワインとサムライをこよなく愛する。

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