2024.06.30| PASSIONE “情熱”

‘021 「100年続くレストラン」にするためには②

1993年創業。100年続くイタリア料理店を目ざして、新潟、都内、イタリアへと道を開いてきたクオルス・リストランテ。現在、レストランのほかに、伝統的バルサミコ酢樽をモデナに所有し、都内にモッツアレラチーズ工房、上越にクラフトビール醸造所を展開。イタリア食文化に感銘を受けたことで始まった挑戦は、これからも続く。

「100年続くレストラン」にするためには②

 

そもそも「イタリア料理」にしたのは、何よりも自分が好きで、いつまでも飽きないでやれると思ったからです。イタリア料理をコアなビジネスにしながら、派生するビジネスも展開していきたいと、30年前から考えてきました。たとえば調理師学校、食材の輸入。逆に、「やらないこと」は、イタリア以外のこと、そう決めています。

ほかの飲食店とのお付き合いは、あまりありません。クオルスのレストランの情報は知られていると思いますが、こちらからほかの店を探りたいとは考えていません。同業種よりも、むしろ異業種で、イタリアつながりの方々とのお付き合いの方が、魅力があります。

たとえば飲料メーカーの関連会社で、イタリア食材の輸入の先駆者的な会社があります。ここが目をかけてくれて、クオルスが輸入しているアイテムを全部輸入代行してくれると言ってくれました。うちは弱小零細企業ですから、1回に600本くらい買うと、すぐに100万、200万というお金が出ていきますし、自分たちで在庫を管理しなければなりません。

ところが、輸入代行してもらえるとなると、必要な分だけ発注すればよくなり、サプライチェーン(商品流通の仕組み)ががらっと変わります。2013年5月には、イタリア駐在の方に取引先を一緒に回っていただきました。

 

クオルスリストランテのワインセラー

イタリアつながりの異業種といい関係を築ければ、実際の仕事にもプラスになります。以前から「ミッレミリア」というクラシックカーのレースに、「サポートスポンサー」として協力していますが、これもその一つです。原宿をスタートして1000(ミッレ)マイル(=1600km)の公道を走るもので、スタート前の朝ご飯にサンドイッチを提供しています。毎回400食くらい。それをかれこ30年ほど続けています。

レースに出る人たちは、社会的にも名のある方たちで、中にはレストランのお客さまや、レースをきっかけにお客さまになってくださる方もいます。レースの前後にある打ち上げや慰労会には、クオルスのレストランを使っていただいていることもあり、イベントを通じて、たくさんお客さまをご紹介いただきました。なかなかお会いできない方にもつながりができ、トータルではもちろんプラスになっています。

 

神宮前からスタートするラフェスタミッレミリア

 

ラフェスタミッレミリアではスタート前の選手にサンドイッチを提供している

次回「‘022|みんなの原動力になりたい

 

高波利幸 Toshiyuki Takanami

1968年、新潟県上越市生まれ。高校卒業後「服部栄養専門学校」に入学し、料理の勉強を開始する。在学中、ヨーロッパに研修でイタリアへ行き、イタリアの食と文化、そして人に大きく感銘を受ける。卒業後、イタリアレストランで修行を開始。7年間東京で暮らしたのち、新潟に帰郷。1993年4月、地元上越市にイタリアレストランをオープン。現在イタリア料理店3店舗、モッツアレラチーズ工房、クラフトビール醸造所を展開。その他飲食店コンサルティング、プロデュースも手掛ける。

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