Vol.10 地方を盛り上げる。新たな目標に向かって
2020年東京オリンピックの年。いつの時も、その時代にイタリア食文化を広めるために努力を積み重ねてきました。私たちが愛する国イタリアは相変わらずデフレの最中、ワイナリーをはじめホテル、レストラン、ブランド品に至るまで、外資企業の傘下にあります。そんな中、純国産、地場ものにこだわり、少量でも「伝統やオリジナル」を守り、世間に広めようと生き残りをかける生産者がいます。その規模は、メーカーとは言いがたいほど小さく、家族経営によるものです。
物があふれるのは日本だけでなくイタリアも同じ、消費税は23%の国です。観光地で有名なローマやミラノ、その場所は置き換えてみれば東京や大阪と同じ大都市です。よって高価な土地代の上に成り立つレストランで食べる食事は高額ですし、それを作る人はもはやイタリア人ではありません。安価で美味しいものを食べるとなるとやはり地方へ出向くことになります。ですが、それは地方都市ではなく、山間部、海辺の小さな村です。私は今後「美味しいものを食べに行こう」となった場合、同じようなことが日本でも起こるのではないかと考えています。
前回の東京オリンピック後、新幹線も走り、新潟と都心部との往来はたった2時間になりました。「食」で地方を盛り上げていきたいと新たに目標を掲げようと思います。そして、地元の生産者や関わる方々との発展を願います。(高波)
高波利幸 Toshiyuki Takanami
1968年、新潟県上越市生まれ。高校卒業後「服部栄養専門学校」に入学し、料理の勉強を開始する。在学中、ヨーロッパに研修でイタリアへ行き、イタリアの食と文化、そして人に大きく感銘を受ける。卒業後、イタリアレストランで修行を開始。7年間東京で暮らしたのち、新潟に帰郷。1993年4月、地元上越市にイタリアレストランをオープン。現在イタリア料理店3店舗、モッツアレラチーズ工房、クラフトビール醸造所を展開。その他飲食店コンサルティング、プロデュースも手掛ける。