2018.04.01| "文系ソムリエ"が教えるワインの楽しみ方

No.2 ワインを〝音〟で楽しもう!

ワインを〝五感を使って〟楽しむというのは基本中の基本です。みなさまも普段から、視覚・嗅覚・味覚・触覚(口蓋や舌触り)で吟味されているはず。でも、なぜかもう一つの要素に関した話をあまり聞きません。そう!ワインならではの聴覚(音)からのアプローチ、お忘れではありませんか?

ワインにまつわる音、その花形はなんといってもスパークリングワインを開栓するあの華やかな音でしょう。実は私自身、この音にまつわる思い出があります。20才の頃、北米大陸を一人旅していた時、乗っていた小型航空機に爆発物が仕掛けられたとの情報が入り、夜中に引き返し、緊急着陸したという何ともスリルとサスペンス!な事件に遭遇したことがありました。結局無事が確認され、数時間後、同機にて目的地へ再出発となりましたが、そのフライトが離陸するや否や、拍手と歓声が起こり、客室乗務員の方が勢いよくスパークリングワインのコルクを抜き始めたのです。そして搭乗客みんなで乾杯し、機内でパーティ!(今のご時世だと、こんな粋な対応もないかもしれませんね)。その景気のいい音と、ワインの冷たくさわやかな喉越しのおかげで、一気に不安が解消していった感覚を、今でもはっきり覚えています。そして「ポン、ポン、ポーン!!」という音の記憶と同時に、北米人乗客達の中にたった一人、交じっていたアジア人の女の子の不安を気遣い、道中ずっと「Don’t worry!」と声をかけ、肩を抱いて励ましてくれた乗客の人々の映像が、まるで映画の一シーンのように鮮明に蘇ってくるのです。

スパークリングワイン抜栓の音は、お祝いや記念日のパーティなどいろんなシーンを盛り上げるのに使われ続けてきましたが、それは、その時だけの効果にあらず、特別な思い出を鮮やかに記憶に留めることができる、まるで〝魔法の祝砲〟だということを、人々は、感覚的に学んできたからではないでしょうか? 私にとっても、記憶を呼び戻すスイッチであり続けているように。

みなさまもぜひ、特別な機会にはどんどんスパークリングワインを開けて、その音をもっと楽しみ、「噛み締めて」みてください。その時の素敵な思い出は、音とともにきっと長く、鮮やかにみなさまの心に残ることと思います。

 

ソムリエ・小関 智子 Tomoko Koseki

ソムリエ・小関 智子 Tomoko Koseki

クオルス・イタリア駐在員。エミリア・ロマーニャ州在住でAIS(イタリアソムリエ協会)のソムリエの資格を持つ。猫とワインとサムライをこよなく愛する。

SHARE THIS ARTICLE

 記事一覧へもどる