2019.03.01| 特集

バルサミコ酢ってなんだ?

モデナにある小さなバルサミコ酢工房。その蔵には「クオルス・リストランテ」と焼印の押された木樽があります。熟成までに12年間。今だ眠っている「伝統的バルサミコ酢」に会いに行きました。

バルサミコ酢と伝統的バルサミコ酢。その違いを知っていますか?

すっかりおなじみになったバルサミコ酢。でも、スーパーなどで簡単に手に入るバルサミコ酢と、高級食材店でしかお目にかかれない高価な「伝統的バルサミコ酢」、その違いを知っていますか?

名前は似ていても、実は大きな違いがあります。製造方法、熟成時間。一般的な「バルサミコ酢」は酢やカラメルなどの添加物が許され、短時間で大量に生産することが可能ですが、「伝統的」と呼ばれるバルサミコ酢は、昔ながらの製造方法によって、気の遠くなるような時間をかけられているのです。

伝統的バルサミコ酢が作られているのは、フェラーリの聖地として知られるイタリア北東部のモデナという町。バルサミコ酢の工房「アチェタイア カゼッリ」に、クオルス・リストランテのバルサミコ酢が眠っています。

出迎えてくれたのはシモーネ・カゼッリ。伝統的バルサミコ酢の製造方法を教えてくれました。使うのは地元のブドウ、主にトレッビアーノ種だけ。これを搾り、カゼッリでは約半量になるまで煮詰めて「モストコット」を作ります。これがすべての始まり。バッテリーアと呼ばれる一式を利用し、毎年樽から樽へと移し替え、最低でも12年間熟成させてできあがるのです。

何も足さない。何も引かない。ひたすら移し替え、熟成させることででき上がる伝統的バルサミコ酢は、酢の尖った酸味が消えて、まろやかに深く濃く、まさに重ねられた時間が絡み合った味わい。その製造方法も熟成期間も厳しく決められ、審査を経て認められたものだけが「伝統的」と名乗ることを許されるのです。

 

クオルス・リストランテの焼印が押された5つの樽。大きい木樽から、栗・オーク・オーク・桜・オークの組み合わせ。

シモーネの工房に置かれたクオルスの樽。これが12年間の熟成を経てできあがるのは2023年。モデナ産の伝統的バルサミコ酢専用の瓶に詰められます。

 

モデナの伝統的バルサミコ酢と認定されるとこの瓶に詰められる。瓶のデザインは、フィアット500のデザインなどで知られるジウジ・アーロ

そもそもクオルス・リストランテが提携先にカゼッリを選んだのは、家族だけの小さな工房ながら、伝統的バルサミコ酢を次世代に伝えていく使命感と情熱にあふれていたから。カゼッリ家では代々、子どもが生まれるとその子のためのバッテリーアを作るため、もちろん“シモーネの樽”もあります。

「私の仕事は、受け継いだものを引き渡していくこと。生産者と単純に位置づけるのとはちょっと違うかもしれませんね」。受け継いだものといえば技術と情熱だけでなく樽もそうで、このシモーネの樽から生まれたカゼッリの伝統的バルサミコ酢は、 権威ある品評会で名誉の優勝も果たしています。

一番手前、金のラベルが貼られているものがシモーネの樽。シモーネが生まれた1969年に作られました。

クオルスリストランテ高波が訪問した際に分けてもらった貴重なバルサミコ酢。クオルスとシモーネの友情の証です。

現在、クオルス・リストランテの各店舗で使われているのは8年熟成のバルサミコ酢。伝統的製法と同様に、モストコット(ブドウの果汁を煮詰めたもの)のみをオークの木樽(一樽)で約8年熟成させて仕上げられています。伝統的バルサミコ酢がデビューする2023年を待ちながら、まずは8年熟成のバルサミコ酢を味わってみましょう。

〈この記事は2019年3月1日発行「LaPassione! 6号」の内容を掲載しています〉

 

8年熟成オリジナルバルサミコ酢

250ml/4,200円
産地_モデナ ・ サンヴィト
蔵元_アチェタイア カゼッリ

使っているのは煮詰めたブドウ果汁だけ。トレッビアーノ種という白ブドウを搾り、煮詰めたもの(モストコット)を木樽に入れ、8年間熟成させました。

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