2021.02.20| 情熱のイタリアコラム

カンティーナの今 〜スクアドラ・クオルスの仲間たちからの便り3〜

クオルス・リストランテが信頼するイタリア現地の生産者「スクアドラ・クオルス」の仲間達に、ワイナリーの今について聞いてみました。第3回目はシチリア島のエトナ山ふもとでワインとオリーブオイルを造る、フィリッポ・グラッソのマリアリータからの便りです。

 

ーフィリッポ・グラッソファミリーの歩みを教えてください

私たちを一言で表すなら、エトナ火山と共に生きて働いてきたファミリーってところかしら。この土地でブドウ栽培を始めたのは曾祖父の時代からなので、私Mariarita(マリアリータ)と兄Filippo(フィリッポ)で4代目になります。世代に渡って引き継がれてきたものは、エトナ火山の恩恵を受けた土地を愛する心と、ここならではのワイン造りへの情熱。だからこそずっと土着品種しか扱っていないの。赤・ロゼワイン用には Nerello Mascalese(ネレッロ・マスカレーゼ) と Nerello Cappuccio(ネレッロ・カップッチョ)、白ワイン用にはCarricante(カッリカンテ) とCatarratto(カタラット)、そしてMinnella Bianca(ミンネッラ・ビアンカ)。私たちのブドウ畑は海抜650メートルに付近に位置し、土壌はほぼ火山岩から形成されているから、独特なミネラル感やコクが特徴のワインが生まれるの。だから私たちが造るワインは、まさに“エトナ火山を感じるワイン”、その一口一口がこのエトナを伝えるものであって欲しいとの願いは代々変わっていません。他にも約100本のオリーブの樹を所有し、その多くは“ウルトラセーコリ”と呼ばれる世紀越えの樹々で、このオリーブから作るエクストラ・バージン・オイルも私たち家族にとっての誇りなんです。

ーワイン造りへのこだわり、モットーや哲学は?

実を言うと、生産者としての哲学とかモットーって特に意識したことないの。でも敢えて言うなら、やっぱり「Amore(愛)」と「Passione(情熱)」かな。私たちにとっては、この土地の生活が人生そのもの。仕事と日常生活の間に境界線など無いの。物心ついた時から畑で作業する父について行って、人生の様々なことを学んできたし、今でも学び続けている。ブドウ畑では常に作業(仕事)をするけど、それは一方で楽しい遊びでもあり、熱中できるものでもあり、そして頑張って取り組む対象でもあるの。そこで私たちは日々“生きている”ってことかな。ブドウ畑で過ごさない日などないし、そこに私達の人生の幸せも目的もあると思っているわ。そんな情熱と愛をもってエトナ火山の土地の伝統、”エトナのDNA”というものを心の中に、そしてグラスの中に引き継いで、前に進んでいくことが私たちの人生だと思っているんです。

 

 


マリアリータのカンティーナ「フィリッポ・グラッソ」のワインを味わってみませんか?

 

2014 エトナ・ロッソ

蔵元/産地:Filippo Grasso/Sicilia
葡萄品種:ネレッロ・マスカレーゼ90%、ネレッロ・マンテラッート、ネッレロ・カプチーノ10%
熟成法:熟成は瓶内のみ、木樽の使用無し

“エトナ山(ヨーロッパ最大の活火山)のワイン”は、その質の飛躍的な向上から、今世紀に入り評価がぐっと上がり大いに注目を浴びたワインです。

火山性土壌で栽培されるNerello Mascalese (ネレッロ・マスカレーゼ)に、Nerello Mantellato(ネレッロ・マンテッラート)、 Nerello Capuccio(ネレッロ・カプッチョ)といったシチリアの土着品種のブドウから出来るこのワインは、そのミネラル分の豊富さからくるコクや火山性の土壌ならではのタバコやカカオなどの風味等、エトナ山の土壌をダイレクトに感じられるものです。

ワインの熟成には木樽は使っておらず、ステンレスタンクのみでの醸造でありながら深みがあり、酸がきれいなエレガントなワインに仕上がっています。またその色合いの美しさは、Nerello Mascaleseに少し色味の薄いNerello Capuccioを加えることで、宝石のルビーを思わせる色合いに仕上げています。

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【シチリアの小さな小さな葡萄栽培農家が造る希少ワイン】 2018 カッリコ68.8

蔵元/産地:Filippo Grasso/Sicilia

エトナ地方の土着3品種カッリカンテ、カタラット、グレカニコのブレンドワインで、正にエトナを体現するワイン。フィリッポ・グラッソでも「守り続ける伝統的なエトナワイン」と位置付けられています。火山土壌の恵みをたっぷりと受けたミネラリーでコクのある典型的なエトナのワインはペコリーノチーズや卵料理、魚介のフリットとの相性が抜群です。
ユニークな名前の由来は、昔エトナ地方で使われていたロバが背負える積荷の単位から。「Carrico」と呼ばれており、それは68.6リットルのワインに相当したそうです。

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