2021.08.22| 情熱のイタリアコラム

カンティーナの今 〜スクアドラ・クオルスの仲間たちからの便り19〜

クオルス・リストランテが信頼するイタリア現地の生産者「スクアドラ・クオルス」の仲間達に、ワイナリーの今について聞いてみました。第19回目はシチリア島のエトナ山ふもとでワインとオリーブオイルを造る、フィリッポ・グラッソのマリアリータからの便りです。

 

―前回のお便りには、メンバー皆揃って「1日でも早くイタリアまたは日本で再会したい」と書いてくれたけど、その日を待ちきれない思いは我々クオルスの面々も同じ!次回ようやくイタリアに行ける時には、カンティーナの他にも、皆の自慢の街や周辺の観光地も是非訪れてみたいな。そこで、今回は是非ガイドさんになったつもりで(笑)、ここぞというお薦めスポットを紹介して~!

次は、世界的にも最も魅惑的なデスティネーションのひとつとして有名な「タオルミーナ(Taormina)」よ!“イオニア海の真珠”と呼ばれているこの街の風光明媚な美しさは、昔から名だたる作家や芸術家たちをも虜にし、インスパイアしてきたと言われているわ。キラキラ光る紺碧の海、煙を上げているエトナ火山、その両方を同時に眺望できる最高の場所よ!

標高約200mにあるタオルミーナは街歩きが本当に楽しいところ。燦燦と太陽がふりそそいで花々が至るところに咲き乱れ、時には海からさわやかな風が吹いてくるわ。メイン通りの「Corso Umberto(ウンベルト通り)」にはシチリアらしい可愛いお土産店やアート・ショップも連なっていて情緒たっぷり。ついついあちこち覗いてしまいたくなって大変かも(笑)。

でもここに来たなら、とにかく町のシンボルでもある「Teatro Greco(ギリシャ劇場)/ Teatro Antico di Taormina(タオルミーナの古代劇場)」に行かないとね!紀元前3世紀のギリシャ(ヘレニズム)時代に建てられた半円形の劇場で、その規模はシラクーサに次いでシチリアで2番目に大きく、当時も5000人以上の観客を収容できたそうよ。その後ローマ時代に入った2世紀に、剣闘試合が行われる円形闘技場に改築されたそう。そして現在に至るまでとても良い状態で保存されている、と言うより今でも現役で使われているわ。夏季シーズンには野外オペラ、映画、コンサートなども開催されていて、夜間のライトアップされた雰囲気はまた格別よ!

かの文豪ゲーテもこの劇場を訪れ、観客席最上段から観ることができる古代劇場ならではの構造、舞台の奥に広がる海岸線と海、エトナ山のすべてが一体化したその光景に「この劇場から見るパノラマは世界一美しい」との言葉を、著書の中に残しているわ。特に夕日が落ちる時の、そのパノラマが次第に闇に溶け込んで行く様には大層魅了されたみたい。分かる!だって本当に息をのむ美しさだもの。皆と一緒にこの夕日が沈んで行くのを一緒に眺めることが出来たら、なんて素敵かしら!是非実現させたいわね!!

それからタオルミーナの更に高台(標高約400メートル)に「Madonna della Rocca(マドンナ・デッラ・ロッカ教会)」という岩山の一部をくり貫いて建てられた“洞窟教会”があるの。そこからは、イオニア海の紺碧の海を背後にしたタオルミーナの街の全景が観られるのよ。教会と合わせてここからの絶景も必見よ!

最後に、「Isola Bella(イゾラ・ベッラ)」も見逃すわけにはいかないわね!名前はそのままズバリ「美しい島」っていう意味。タオルミーナが舞台となった「グラン・ブルー」という映画の中にも出てくわ。街はずれの「Belvedere(展望テラス)」から一望できるし、ケーブルカーを利用してこの島に繋がる海岸に降りることもできるわよ!

 


マリアリータのカンティーナ「フィリッポ・グラッソ」のワインを味わってみませんか?

 

2014 エトナ・ロッソ

蔵元/産地:Filippo Grasso/Sicilia
葡萄品種:ネレッロ・マスカレーゼ90%、ネレッロ・マンテラッート、ネッレロ・カプチーノ10%
熟成法:熟成は瓶内のみ、木樽の使用無し

“エトナ山(ヨーロッパ最大の活火山)のワイン”は、その質の飛躍的な向上から、今世紀に入り評価がぐっと上がり大いに注目を浴びたワインです。

火山性土壌で栽培されるNerello Mascalese (ネレッロ・マスカレーゼ)に、Nerello Mantellato(ネレッロ・マンテッラート)、 Nerello Capuccio(ネレッロ・カプッチョ)といったシチリアの土着品種のブドウから出来るこのワインは、そのミネラル分の豊富さからくるコクや火山性の土壌ならではのタバコやカカオなどの風味等、エトナ山の土壌をダイレクトに感じられるものです。

ワインの熟成には木樽は使っておらず、ステンレスタンクのみでの醸造でありながら深みがあり、酸がきれいなエレガントなワインに仕上がっています。またその色合いの美しさは、Nerello Mascaleseに少し色味の薄いNerello Capuccioを加えることで、宝石のルビーを思わせる色合いに仕上げています。

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【シチリアの小さな小さな葡萄栽培農家が造る希少ワイン】 2018 カッリコ68.8

蔵元/産地:Filippo Grasso/Sicilia

エトナ地方の土着3品種カッリカンテ、カタラット、グレカニコのブレンドワインで、正にエトナを体現するワイン。フィリッポ・グラッソでも「守り続ける伝統的なエトナワイン」と位置付けられています。火山土壌の恵みをたっぷりと受けたミネラリーでコクのある典型的なエトナのワインはペコリーノチーズや卵料理、魚介のフリットとの相性が抜群です。
ユニークな名前の由来は、昔エトナ地方で使われていたロバが背負える積荷の単位から。「Carrico」と呼ばれており、それは68.6リットルのワインに相当したそうです。

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