2021.11.12| イタリアの食とワインの味わい方

No.19 SAGRA(サーグラ)、“味覚の秋祭り”の季節到来!! その②

秋が深まりゆく今日この頃。日本の紅葉には及びませんが、ここイタリアでも街の並木通りや収穫を終えたブドウ畑などでは、その美しい色彩で我々の目を楽しませてくれています。各地で盛んに開催されている豊潤の秋を象徴するSAGRAも、今がたけなわ。今回はそのレポート第2弾をお届けしたいと思います。

この秋はSAGRA巡りに忙しく、嬉しい悲鳴をあげています。なにせ去年はコロナ禍で多くのイヴェントが中止となったこともあり、2年ぶりの開催に参加できる喜びもひとしおです。Tartufo(トリュフ)、Porcino (ポルチーニ茸)、Zucca (かぼちゃ)などの秋の味覚はもちろん、Castrato (去勢羊の肉)、Lumaca (エスカルゴ)といった珍しい食材、また伝統パスタのTortellino (トルテッリーノ)やLasagna (ラザーニャ)、そしてVino(ワイン)まで...SAGRA行脚はとどまるところを知りません(笑)。

そして今回はクオルスにもゆかりがある、“あの村とあの食材”のSAGRAレポートです。このコラムを読んでくださっているクオルス・ファミリーの皆さんの中には、この風景と街並みに見覚えがあって、思わず懐かしく思い出される方もいらっしゃることでしょう!実はここは2015年にクオルスが主催した「食材探訪グルメツアー」の中で訪れたことがある村なのです。さて日本でも秋を代表する味覚のひとつ、何のSAGRAだと思われますか?

場所は「Castel del Rio (カステル・デル・リーオ)」。エミリア・ロマーニャ州のロマーニャ側、サンテルノ渓谷に沿った山間に位置する人口約1200人の村です。中世の街並みを色濃く残しており、村の中心にそびえ立つ16世紀に建てられた「Palazzo Alidosi(アリドージ宮殿)」や、1499年建造で国の重要文化財にも指定されている「Ponte Alidosi(アリドージ橋)」は、何世紀にも渡ってこの村のシンボルになっています。

そしてここはMarrone(マッローネ)、つまり“栗(クリ)”の産地としても有名な土地なのです。今年で65回目を迎える歴史ある「Sagra del Marrone(栗祭り)」は、毎回この小さな村全体が会場となって開催されます。SAGRAには様々な規模や形態があって、小さなものは前回ご紹介した様な“テント・レストラン”でテーマの食材を堪能するだけのものから、大きなものではFIERA(フィエラ)と名付けられている国際的なイヴェントもありますが、今回の様な“村祭り”的なものが原型です。

村のメインストリートには青空市が立ちますが、今日の主役はなんといっても地元の栗の生産者さん達。収穫されたばかりの新栗の購入を目的に、多くの人がこのSAGRAにやってきます。皆それぞれが栗の入った大きな袋を両手に抱えた一家総出らしい家族や、毎年の常連さんらしく生産者さんとの会話に花を咲かせている人達もいて、皆がこの機会をとても楽しみにしていた様子が伺えます。

一方、アリドージ宮殿裏手の広場ではテント・レストランが設置され、その脇には「Birra di Marroni (栗ビール)」や栗粉で作ったドルチェなどを販売する小さなスタンドが並んでいます。そして広場中心では、パチパチと音を立てモクモクと煙を出しながら、長~い柄が付いた大きな鉄の鍋で栗をローストしている職人さん達がいますが、その鮮やかな手つきで鍋返しをする度に、見学している人々からは歓声があがって、お祭り気分を更に盛り上げてくれます。

そして私の一番のお目当ては、なんといっても「栗尽くしメニュー」を食べること!栗ベースのドルチェなどは食べる機会もありますが、栗が主役のお料理は普段なかなかお目にかかれません。ここでしか食べられない栗づくしのメニュー。例えばどんなメニューがあるのか、今回食したお料理をご紹介させていただきます。

「Tagliatelle con farina di marroni, al sugo di speck, porri e mascarpone(栗粉のタリアテッレ、スペックとポロネギ入りマスカルポーネチーズのソース)」「Cappellacci con ripieno di marroni conditi con olio e pepe(栗ペースト詰めのカッペッラッチ)」「Filetto di maiale con salsa di porcini e marroni(豚フィレ肉、ポルチーニと栗のソース)」。どのお料理も栗の甘みが効いていますが、塩分とスパイスの絶妙な使い方によって見事な“味のハーモニー”を奏でていて、とっても美味しい!ドルチェは「Cheesecake alle note autunnali, con marroni e salsa di cachi(栗と柿ソースの秋味チーズケーキ)」で、これまた絶品でした!! 

最後に、これは余談になりますが、カステル・デル・リーオについてはとても印象深いことがあります。それはこの村の人が「Alidosiani(アリドジアーニ)」と呼ばれていることです。“アリドージ領の人”という意味なのですが、アリドージというのは13~17世紀にこの土地を治めて繁栄を築いた領主一族のこと。その時代から400年以上経っていますが、今日でもこれが村民の正式な呼び名です。

まるで上越市民のことを“上杉領民”と呼ぶようなものですよね。でも、、、歴史を肌で感じられるようで「なんだか素敵!」と思ってしまうのは、私だけでしょうか(笑)。この村のたたずまいが、これ程に中世の雰囲気を醸し出しているのも、この呼び名の影響もあるのかもしれません。そう、ここはまさに歴史とロマンの村、もとい、「歴史と“マロン”の村」(笑)なのです!

 

クオルス・イタリア駐在員/小関智子 Tomoko Koseki

クオルス・イタリア駐在員/小関智子 Tomoko Koseki

エミリア・ロマーニャ州在住。AIS(イタリアソムリエ協会)のソムリエの資格と公認添乗員ライセンスを持つ。現地で出会ったワイナリーとクオルスを繋いでいる。

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