2021.12.21| イタリアの食とワインの味わい方

No.20 クリスマスシーズンがやってきた!“マンジャーレの国”、本領発揮!!

街並みも家の中も、そして食生活まですっかり「Natale(ナターレ)=クリスマス」一色のイタリアです。午後の5時前には暗くなってしまうこの時期ですが、それぞれの町の中心広場に飾られたクリスマスツリー、メインストリートを照らすイルミネーション、趣向を凝らした商店街のディスプレイが人々の心を躍らせてくれます。1年を通じて最もお祭り気分が盛り上がる季節!今年のボローニャのマッジョーレ広場のクリスマスイルミネーションは、この通り。

以前のコラムで「イタリア人にとって“食欲”と言えばクリスマス!」と書いたことがありましたが、まさに身をもってそれを再確認する毎日。今回は、“ダイエット”という言葉は封印され、その概念も完全に消滅するクリスマスシーズンのイタリアの様子と、この時期、間違いなく全国民の“増量”に貢献(?)している、人気の「伝統のクリスマス・ドルチェ」を紹介させていただきます。

まず12月に入るやいなや、数々の「Pranzo di Natale(プランツォ・ディ・ナターレ)」「Cena di Natale(チェーナ・ディ・ナターレ)」と銘打った“クリスマスお食事会”が目白押しとなります。例えば私の場合、友人達との内輪の会や仕事関係、ソムリエ関連主催のものから、ボランティアサークルやスポーツジムのお仲間といった普段は会食することはない面々からのお誘いがあります。

食事会に“Natale”という名が付くだけで、なぜかボリュームが更にアップするように思うのは、気のせいでしょうか。先日行われた、そんなクリスマスランチの一コマ。アンティパスト(前菜)のビュッフェだけでも、こんな感じで始まって...“マンジャーレの国”の皆さんはまさに本領発揮の見事な食べっぷり!やはり“Natale”と聞くだけで自然に食欲も増進するみたいです(笑)。私と言えば、毎回早々にギブアップ...「イタリア人の胃袋が欲しい~!」と心の中で叫びながら。

またイタリアではクリスマスは宗教的行事であると共に、なによりも“家族で過ごす祝日”。北イタリアに住む私の周りにも南イタリア出身の人が少なから居ますが、彼らはクリスマス休暇には間違いなく実家に帰って行きます。そこではマンマがそれこそ手ぐすねを引いて、美味しい郷土料理(マンマの味)を“たくさん”食べさせようと待ち構えているので、皆が皆、“増量Max”で戻ってきます。

そしてなんと言っても、この時期は様々な「Dolce di Natale(ドルチェ・ディ・ナターレ)=クリスマスのドルチェ」が登場します。各地にある伝統的なものはもちろん、それに加えて、もはやクリスマスの風物詩とも言える「Panettone(パネットーネ)」がイタリア全国を席巻します。近年、日本でもいろいろと入手できるようになってきたので、すでにファンだと言う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ミラノで生まれたパネットーネは、5世紀以上の歴史を持つクリスマスの伝統菓子。卵とたっぷりのバターで作る生地の中に「Canditi(カンディーティ)」と呼ばれる砂糖漬けのドライフルーツやレーズンを練り込み、特殊な天然酵母を用いてゆっくりと発酵させ、長い時間をかけて焼き上げた逸品です。私にとってもクリスマスのドルチェの中で一番のお気に入りがこのパネットーネ!

イタリアではこの時期、パネットーネはあらゆるシーンに登場します。家庭では、朝食、おやつ、食後のデザートとして。また手土産や贈り物としても大活躍。町の集会所には一口サイズに切ったものを盛ったお皿が置かれてあったり、レストランでは「パネットーネのザバイオーネソース添え」というパワー(カロリー?)アップしたものがメニューに追加されます。“素朴で飽きの来ないやさしい味”なので、期間中ずっと食べ続けることが出来ます。と言うか、ついつい手が出て食べ続けてしまうのです。

実を言うと、第一印象はさほどのものではありませんでした。でもある時パスティッチェリア(製菓店)で売られている、いわゆる「Panettone Artigianale (職人作りのパネットーネ)」を味わって、ビックリ!!生地のふわふわ感としっとり感が見事に融合したその食感は独特で、口の中でとろけていくようでした。と同時に、香ばしく甘い芳香の余韻がいつまでも続きます。そこで「美味しい~~!」と感激して以来、すっかりパネットーネにハマってしまったのでした。

今日スーパーで売られている大量生産のパネットーネでも、有名な老舗メーカーが手掛ける美味しいものも数々ありますが、製菓店や専門店で”職人作り”されたものは、また「格別」です。お値段も数倍はしますが、本当に価値があると思います。ここ数年イタリアでも職人作りのパネットーネへの再評価が高まり、その需要と生産量は飛躍的に伸びているそうです。パネットーネを食べるなら、語るなら、是非一度お試しあれ!

そしてパネットーネを語るなら、こちらも外すわけにはいきません。永遠のライバル(?)としてパネットーネと人気を二分する、「Pandoro(パンドーロ)」という星形の角を持つ円錐型をした、ヴェローナ発祥のクリスマス伝統菓子です。パンドーロは生地の黄色味が美しくバニラ香とバター風味が豊かで、その名の由来は「黄金のパン」。直前に、一緒に同封されているスノーパウダーの様な粉砂糖を全体にまぶしてから、いただきます。

パネットーネでなければパンドーロ。いずれにせよイタリアのクリスマス・シーンには欠かせないドルチェ。「パネットーネとパンドーロ、どっちが好き?」というのも、この時期ならではのお決まりのフレーズ。毎年聞いているのに、また聞き合うという、もはや“季節のあいさつ”(笑)。人々が集まる場所でこの話題が出ると、あっという間に “パネットーネ派”と“パンドーロ派”のにわかチームが結成され、仲間意識で盛り上がってしまう現象は、「イタリアあるある」のひとつでしょう。

ちなみにパンドーロ派の人は、「カンディーティが苦手だから」という理由をよく上げますが、近年のパネットーネは、カンディーティ無し、チョコレート、ピスタキオやリモンチェッロのクリーム入りの他、どんどんバリエーションを広げています。この作戦で“パネットーネ派”はその勢力図をさらに広げることができるのか?(笑)というのも、個人的には興味深いところです。

そんなこんなで、毎日が“マンジャーレ”のイタリアのクリスマス。そして「Natale(キリスト降誕日)」の午餐、その前後日を入れての3日間の本番はいよいよこれから。今カウント“ダウン”の真っ最中です!ただそれに反比例し、私も含めてこの国の人々の体重が日ごとに“アップ”しているのは、言うまでもありません...(笑)

皆さまも、どうぞ素敵なクリスマスと良き新年をお迎えください!!
Buon Natale e Felice Anno Nuovo!!

 

クオルス・イタリア駐在員/小関智子 Tomoko Koseki

クオルス・イタリア駐在員/小関智子 Tomoko Koseki

エミリア・ロマーニャ州在住。AIS(イタリアソムリエ協会)のソムリエの資格と公認添乗員ライセンスを持つ。現地で出会ったワイナリーとクオルスを繋いでいる。

SHARE THIS ARTICLE

 記事一覧へもどる