2022.04.27| 情熱のイタリアコラム

No.21 Vinitaly(ヴィニタリー)が帰ってきた! “ヴェローナ春の陣”は熱かった!!

この4月、2度の中止を経てVinitaly(ヴィニタリー)が遂に再開されました。1967年より毎年続くイタリア最大規模を誇るワインの見本市ですが、中断があったのは開催以来はじめてのこと。特にパンデミックが始まった2020年は延期発表を経て最終的に中止に至り、ワイン業界を始めとする多くの関係者が落胆を覚えたものでした。あれから2年。人々の期待と不安が交錯するなか3年ぶりの開催となったVinitalyに行ってきました!

今回は、未だ渡伊はかなわない高波社長から託された“思い”と“オーダー”を「スクアドラ・クオルス」の面々に直に伝えるというミッションを携えての出発です。春の陽気の中、開催地のヴェローナ行きの電車に乗り込むと、そこは一目でそれと分かる参加者であふれていて、すでにワインの商談とも思えるような会話も聞こえてきます。もはや“Vinitaly専用列車”!オンライン(ヴァーチャル)では決して味わえない、この熱気ムンムン(笑)のリアルな空間に居る実感と喜びが湧いて早速テンションが上がります!いざ出陣!!

ヴェローナのポルタ・ヌオーヴァ駅に到着し、皆が一斉に電車を降りるとそこにはシャトルバスが待機しており、次々に人々を会場へと運んでくれます。入口でGreen Pass(ワクチン接種証明書)と入場券のチェックを受けた後、すぐにエミリア・ロマーニャ州のパビリオンへ。最初のミッションを遂行すべく「Tenuta Uccellina(テヌータ・ウッチェリーナ)」のエルメス&アルベルト親子の元へ向かいました。

まず伝えたのは高波社長の“思い”、それは商売上の関係を超えた人としての絆で結ばれたパートナーたちへの熱いメッセージです。「深いご縁があって出会い、我々自らが選んで直輸入することになった貴方たちが造るワインのオーダーは、どんな時でも決して途切れさせないつもりです!この困難な時期を共に乗り越えて前に向かっていきましょう!!」。

そしてブルソンエルメス&ジオ、ランベーラ、クリヴォのオーダーも伝えたところ、エルメスからは、こんな返事を託されました。

「日本のレストラン業界が本当に大変だったことは聞いていて、僕らもクオルスの皆のこと、いつも思っていたよ。でもそんな状況下においても皆が前を向いて頑張っていることを知っていたから、それに負けないよう外に出られない時間にはより良いワイン造りの研究に力を注いでいたんだ。オーダーとても嬉しいよ!そんな僕らの研究成果を味わってもらえるからね。この状況が改善したら必ず皆に会いに日本へ行くからね!」。

そしてエミリア・ロマーニャを後にして、次はシチリア州のパビリオンへ。今度は「Filippo Grasso(フィリッポ・グラッソ)」のマリアリータが素敵な笑顔で迎えてくれました。

同じく高波社長のメッセージと、エトナ・ロッソカッリコ68.8EVオリーブオイル・フェルナンドのオーダーを伝えました。以下はそれに対する彼女からのメッセージです。

「3年ぶりのVinitaly, 直接人と目を合わせ話ができることの喜びを噛みしめているところよ。そして今こうして日本からの素晴らしいエールも受け取ることができて幸せ。今年もエトナの恵みを皆さんにお届けすることが出来て本当に嬉しいわ!ワインも申し分ないのだけど、特に今回の『EVオリーブオイル・フェルナンド』の出来は、もう本当に最高なのよ!!どうか楽しみにしていてね!それからシチリアにも是非来てね。家族みんなで待っているわ!」。

その後、今度はピエモンテ州のパビリオンへ。「Famiglia Marrone(ファミリア・マローネ)」のスタンドに着くと、デニーゼ、セレーナがそれぞれ外国人のお客様と商談の真っ最中。赤ワイン色と白のツートンカラーがおしゃれな専用スペースは、活気に満ちています。そして先に商談が済んだデニーゼが、大きく両手を広げて迎えてくれました。

同様のメッセージとバローロ、バルバレスコ、パッシオーネ、ドルチェット、アルネイス、ファヴォリータのオーダーを伝えたところ、デニーゼはこんな言葉を返してくれました。

「想像していたよりもずっと多くのゲストが来場してくれてびっくりしているのだけど、アジアからの人が全然いなくて寂しいと思っていたから顔を見られてとても嬉しいわ!だって私日本と日本人が大好きなんですもの!我々ファミリーとクオルスの皆さんは去年も “カンティーナの今”を通じて繋がっていられたし一緒にまた前進できる日が必ず来ると信じていたから、こうやって実際にオーダーが再開してそれを実感できるのは本当に幸せだわ!!」。

続けて「今日はそんな“RIPARTENZA(再始動・再出発)”の日ね!是非一緒にその記念写真を撮りましょうよ!」と思わぬ提案をいただき、二人でパチリ。(笑)

そして最後に向かったのは、ヴェネト州のパビリオン。「Corte San Benedetto(コルテ・サン・ベネデット)」のアンジェロのところです。

やはり同様のメッセージと、アマローネリパッソヴァルポリチェッラのオーダーを伝えたところ、感激の面持ちでこう答えてくれました。

「日本の状況もまだまだ大変な中、絆を大事に、そして僕の造るワインを尊重してくれていること、感謝の気持ちでいっぱいだよ。実はコロナ禍で人々との繋がりが制限される中、自身の仕事の件でちょっと悩んだこともあったんだ。でもVinitalyに来て人々の熱意も再認識できたし、日本からこんな嬉しいメッセージを受け取ることができて、本当に自信と励みになったよ!こらからも素晴らしいワインを提供して行けるように頑張っていくから引き続きよろしく!」。

こうして私のミッションは無事に完了しました!それにしても...今回この会場全体を包む熱気が本当に凄かったと実感しました。これは人々のVinialyという空間の中で共有し得るワインに対する情熱以上に、“ワインを通じて人と繋がることへの情熱”がそれこそ巨大なエネルギーや熱となって渦巻いていたのではなかと感じました。人々はこの機会を本当に渇望していたのだなぁとあらためて思うと共に、Vinialy開催の意義を再確認した1日にもなりました。

ちなみに、開催前の不安はどこへやら。蓋を開けてみれば、第54回Vinitalyは大盛況のうちに幕を閉じました。4月10日~13日の4日間での総入場者数は88,000人を数え、そのうち外国人バイヤーはなんと139か国から25,000人が来場したそうです。「RIPARTENZA(再始動・再出発)」をキーワードのひとつに挙げていた今回のVinitaly、素晴らしい再スタートが切れたのではないでしょうか。さあ、来年はクオルス・ファミリーの皆さんもこの熱い熱い“ヴェローナ春の陣”(笑)に参加してみませんか!

 

クオルス・イタリア駐在員/小関智子 Tomoko Koseki

クオルス・イタリア駐在員/小関智子 Tomoko Koseki

エミリア・ロマーニャ州在住。AIS(イタリアソムリエ協会)のソムリエの資格と公認添乗員ライセンスを持つ。現地で出会ったワイナリーとクオルスを繋いでいる。

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