2025.01.31| PASSIONE “情熱”

‘022 みんなの原動力になりたい

1993年創業。100年続くイタリア料理店を目ざして、新潟、都内、イタリアへと道を開いてきたクオルス・リストランテ。現在、レストランのほかに、伝統的バルサミコ酢樽をモデナに所有し、都内にモッツアレラチーズ工房、上越にクラフトビール醸造所を展開。イタリア食文化に感銘を受けたことで始まった挑戦は、これからも続く。

みんなの原動力になりたい

私は自分自身のことを、料理人でサービスマン、かつ経営者と考えていますが、ビジネス本や経営者のセオリーに照らすと、ちょっと異端のようです。

「えっ? 社長なのに現場に出てるの?」
「2、3軒展開する規模になったら、社長業に専念しないと、店舗数や売上げが伸びないでしょ?」
「社長はお店にいない方がいいでしょ?」

そう言われるたびに考えさせられるわけですが、「いや、レストランに出たい!」「出なきゃいけない」と頭も身体も思っています。

祖母は90歳まで家業の蕎麦屋に立っていましたし、父は74歳にて他界まで、母は80歳を過ぎても現役でした。小さな頃から祖母や親の姿を見てきたので、それが当たり前だと思っていましたし、そういう血なんだろうと思います。自分では〝あたりまえ〟と思っていることが、周囲には〝あたりまえでない〟。だから〝異端〟と見られるのでしょう。

今までの行動や言動を振り返ると、現在の立場には、なるべくしてなったと思います。自分にしかできないこと、みんなで思い描くビジョンを達成するためには、〝自分の役割〟〝みんなの役割〟を徹底させなければなりません。

そのためには、優秀な人材を見つけ出し、その人たちの能力を最大限に引き出すこと。それこそがそ自分に課せられた〝役割〟だと言い聞かせています。1人ではできないことを成し遂げるためには、優れた人材が不可欠です。そして私自身が、最高教育担当者を担っていきます。

今どきの若者に対しては、自分が好きなことを徹底的に突き詰めてもらいたいと思います。苦しくなったら休めばいいし、悩むことがあれば人に話せばいいし、楽をしたくなったら我慢だと思います。そうやって1つのことを貫く姿勢で臨んで欲しいのです。貫いて、歳を重ねて見えてくるものこそ〝自身の成長〟なのです。

目先のことにとらわれてはいけないと思いますし、自分がどこまで行けるのか、自身がワクワクするような人生を送ってほしいと願っています。私もいつも〝何か面白いことはないか〟と模索していますし、もなお、〝ワクワクするような人生〟を歩むために努力し続けています。自分を奮い立たせる。トップとして常にみんなのモチベーションエンジン(原動力)となっていきたいと思います。

次回「‘023|描き続けるビジョン、夢をかなえる言葉

 

高波利幸 Toshiyuki Takanami

1968年、新潟県上越市生まれ。高校卒業後「服部栄養専門学校」に入学し、料理の勉強を開始する。在学中、ヨーロッパに研修でイタリアへ行き、イタリアの食と文化、そして人に大きく感銘を受ける。卒業後、イタリアレストランで修行を開始。7年間東京で暮らしたのち、新潟に帰郷。1993年4月、地元上越市にイタリアレストランをオープン。現在イタリア料理店3店舗、モッツアレラチーズ工房、クラフトビール醸造所を展開。その他飲食店コンサルティング、プロデュースも手掛ける。

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