イタリアワイン2大巨頭を訪ねて2|名実備えた貴族のようなワイン。気品と力強さ「アマローネ」
「バローロ」と「アマローネ」。言わずと知れたイタリア赤ワインの王様だ。生産されているのはいずれもイタリアの北部。クオルス ・リストランテの仲間である2つのワイナリーに、2つのワインを訪ねた。2件目は気品と力強さ溢れる貴族のようなワイン「アマローネ」。
こちらは同じイタリア北部でも東側にあるヴェネト州。紀元前に古代ローマの植民地として発展、今もその面影を留める世界遺産の街、ヴェローナの近郊で、「最高級」と誉れ高い赤ワインが生まれた。その名も「アマローネ」。日当たりのいい場所で、太陽の恵みを全身に浴びながら育ち、陰干しを経て芳醇さを凝縮させたブドウが、味わいを決めている。
3種類のブドウを育てる20haの畑から
カンティーナの名前コルテ・サン・ベネデット(CORTE SAN BENEDETTO)は5、6世紀ごろにイタリアで活動し、修道会の基礎をつくった聖ベネディクトに由来。一般に複数のブドウを使うワインは、搾ってから混ぜるが、ここでは収穫したブドウを混ぜ、一緒に搾るという。その比率はかつて、畑の面積で測ったという逸話を聞くと、カンティーナが土地とともに風土を受け継いだことが分かる。クオルスとの付き合いは8年前から。オーナーのアンジェロは「独立して最初のお客さんだったこともあってとても印象深い。今後もできる限りのことをしていきたい」と言った。
「うっかり」が生んだ奇跡の味わい
アマローネ独特の奥行きある味わいを生んでいるのは、陰干ししたブドウだ。もともと、デザートワイン「レチョート」を作っている途中、行うべき“発酵止め”を忘れてしまったため、すべての糖分がアルコールに変わってしまい、期せずしてアルコール度数の高い辛口のワインが誕生した。糖分(甘み)が残っていないことから、アマーロ(辛口)ならぬアマローネ(超辛口)と名付けることになったと伝えられている。“幸運なうっかり”から生まれた愛すべきワイン、それがアマローネである。
「バローロvsアマローネ」の特徴を比較