2019.08.01| 特集

イタリアワイン2大巨頭を訪ねて2|名実備えた貴族のようなワイン。気品と力強さ「アマローネ」

「バローロ」と「アマローネ」。言わずと知れたイタリア赤ワインの王様だ。生産されているのはいずれもイタリアの北部。クオルス ・リストランテの仲間である2つのワイナリーに、2つのワインを訪ねた。2件目は気品と力強さ溢れる貴族のようなワイン「アマローネ」。

 

アマローネのカンティーナ「コルテ・サン・ベネデット(CORTE SAN BENEDETTO)」

こちらは同じイタリア北部でも東側にあるヴェネト州。紀元前に古代ローマの植民地として発展、今もその面影を留める世界遺産の街、ヴェローナの近郊で、「最高級」と誉れ高い赤ワインが生まれた。その名も「アマローネ」。日当たりのいい場所で、太陽の恵みを全身に浴びながら育ち、陰干しを経て芳醇さを凝縮させたブドウが、味わいを決めている。

3種類のブドウを育てる20haの畑から

カンティーナの名前コルテ・サン・ベネデット(CORTE SAN BENEDETTO)は5、6世紀ごろにイタリアで活動し、修道会の基礎をつくった聖ベネディクトに由来。一般に複数のブドウを使うワインは、搾ってから混ぜるが、ここでは収穫したブドウを混ぜ、一緒に搾るという。その比率はかつて、畑の面積で測ったという逸話を聞くと、カンティーナが土地とともに風土を受け継いだことが分かる。クオルスとの付き合いは8年前から。オーナーのアンジェロは「独立して最初のお客さんだったこともあってとても印象深い。今後もできる限りのことをしていきたい」と言った。

 

オーナーのアンジェロ「付き合いが始まってから8年も経ったなんて感慨深いね。これからも最高のアマローネを日本に届けるよ。」

「うっかり」が生んだ奇跡の味わい

アマローネ独特の奥行きある味わいを生んでいるのは、陰干ししたブドウだ。もともと、デザートワイン「レチョート」を作っている途中、行うべき“発酵止め”を忘れてしまったため、すべての糖分がアルコールに変わってしまい、期せずしてアルコール度数の高い辛口のワインが誕生した。糖分(甘み)が残っていないことから、アマーロ(辛口)ならぬアマローネ(超辛口)と名付けることになったと伝えられている。“幸運なうっかり”から生まれた愛すべきワイン、それがアマローネである。

 

昨年の10月に収穫したブドウを干しているところ

 

アマローネに使う「ロンディネッラ」品種をペルゴラ仕立て(棚仕立ての一つ)で。風通しが良く、病気が避けられる栽培方法だ

「アマローネ」は徹底的に温度管理された貯蔵庫で眠る。「海の底のような場所」とアンジェロ。長期熟成させるビンテージワインのため大きな樽を採用。さらに内部を焼いて、「チョコレートやカカオの香りを出している」

 

「バローロvsアマローネ」の特徴を比較

 

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