カンティーナの今 〜スクアドラ・クオルスの仲間たちからの便り6〜
クオルス・リストランテが信頼するイタリア現地の生産者「スクアドラ・クオルス」の仲間達に、ワイナリーの今について聞いてみました。第6回目はシチリア島のエトナ山ふもとでワインとオリーブオイルを造る、フィリッポ・グラッソのマリアリータからの便りです。
ー今回のコロナ禍について。ご苦労したことや今思うことを教えてください。
コロナで私たちの生活というか人生の時間が大きく止まってしまった思いはあるわ。前にも話したけど、私たちにとってカンティーナでお客様を迎えることは仕事という枠を超えて日常の営み、人生の一部だから。それが突然、お客様(とりわけ海外からでもやって来てくれるツーリスト)が全くいなくなってしまって、日々の生活が激変。訪れる人が誰も居ないカンティーナの姿を見ることになるなんて!経済的にも、正直言うとすごく大変。ここでワインを売ることが全く出来なくなったもの。ただ相変わらず、ブドウ畑やオリーブ園では働けるから、それは本当に幸運だと思っているわ。都会で働いている人たちの苦痛を思えば、ここはまるで楽園よね。広々とした自然と緑に囲まれていて、コロナ禍だと言うことをひと時でも忘れることもできるしね!
ー新しく始めた工夫や取り組み等はありますか?
でもやっぱり私たちの暮らしは、人々と触れ合ってこそ。私たちが情熱を込めて作り上げたオリーブオイルやワインを通じて、このエトナへの愛を感じてもらえるひと時を共有することだから、今はその日の為に新しいプログラムや、より良いおもてなしが出来るアイディアは考えているけど、本当にさみしいわ。とにかく1日でも早くここでまたお客様を迎えることが出来ることを、心より祈っている状況よ。
そして先日、久しぶりにエトナ山の噴火があったのよ!でも安心して。いつものように灰は降ってきたけど、私たち自身も、そしてブドウやオリーブたちも大丈夫。まだ煙をもうもうと上げているエトナの写真を送るから見てみて!スペクタクルな眺めでしょ(笑)。この力強いエトナの生命力は、かえって私たちにエネルギーと元気を与えてくれるわ。これまで何度となく噴火があって、その度に乗り越えてきたエトナ山と共に生きる人々。そんな我々の祖先の歩みを思うにつけ、このコロナ禍だってきっと乗り越えて行ける、そう思えるの。イタリアもそして日本も、まだ終息の道半ばではあるけれども、共に頑張っていきましょうね!エトナの地より愛をこめて。
マリアリータのカンティーナ「フィリッポ・グラッソ」のワインを味わってみませんか?
2014 エトナ・ロッソ
蔵元/産地:Filippo Grasso/Sicilia
葡萄品種:ネレッロ・マスカレーゼ90%、ネレッロ・マンテラッート、ネッレロ・カプチーノ10%
熟成法:熟成は瓶内のみ、木樽の使用無し
“エトナ山(ヨーロッパ最大の活火山)のワイン”は、その質の飛躍的な向上から、今世紀に入り評価がぐっと上がり大いに注目を浴びたワインです。
火山性土壌で栽培されるNerello Mascalese (ネレッロ・マスカレーゼ)に、Nerello Mantellato(ネレッロ・マンテッラート)、 Nerello Capuccio(ネレッロ・カプッチョ)といったシチリアの土着品種のブドウから出来るこのワインは、そのミネラル分の豊富さからくるコクや火山性の土壌ならではのタバコやカカオなどの風味等、エトナ山の土壌をダイレクトに感じられるものです。
ワインの熟成には木樽は使っておらず、ステンレスタンクのみでの醸造でありながら深みがあり、酸がきれいなエレガントなワインに仕上がっています。またその色合いの美しさは、Nerello Mascaleseに少し色味の薄いNerello Capuccioを加えることで、宝石のルビーを思わせる色合いに仕上げています。
【シチリアの小さな小さな葡萄栽培農家が造る希少ワイン】 2018 カッリコ68.8
蔵元/産地:Filippo Grasso/Sicilia
エトナ地方の土着3品種カッリカンテ、カタラット、グレカニコのブレンドワインで、正にエトナを体現するワイン。フィリッポ・グラッソでも「守り続ける伝統的なエトナワイン」と位置付けられています。火山土壌の恵みをたっぷりと受けたミネラリーでコクのある典型的なエトナのワインはペコリーノチーズや卵料理、魚介のフリットとの相性が抜群です。
ユニークな名前の由来は、昔エトナ地方で使われていたロバが背負える積荷の単位から。「Carrico」と呼ばれており、それは68.6リットルのワインに相当したそうです。